シネマティック
スローモーション動画のプロンプト:陶器の花瓶が割れる瞬間で物理表現を試す
花瓶が割れて破片が飛び散るリアルな動きで、Gemini Omniの物理表現を引き出すプロンプト。MediumのGemini Omni Prompt Playbookで検証されたパターンです。
プロンプト
A ceramic vase tips off a wooden shelf and shatters on impact with a polished marble floor. Show the shards scattering with realistic momentum and ceramic fragment physics, with the larger pieces tumbling further than the smaller pieces. 1:1 shot, slow motion at the moment of impact, 6 seconds.
失敗パターン:2.5秒地点、動作の途中でカットが入る
上の動画は、このプロンプトで生成した未編集のOmni Flashの出力です(2026-05-26にGoogle Flowで生成、6秒。1:1を指定しましたが、モデルは16:9で返しました)。Omniのもっとも厳しい限界のひとつを示す、当サイトでいちばんわかりやすい記録例です。このページが失敗を隠さず、あえて冒頭に置いているのもそのためです。
映っている内容:
- 0〜2秒 — 明代風の青花(染付)の花瓶が木製キャビネットの棚から傾き、大理石の床へ落ちていきます。Omniが “ceramic vase” を中国的な美意識の文脈で解釈している点に注目してください。言葉の解釈が生んだ、うれしい偶然です。
- 2〜2.5秒 — 花瓶は大理石に当たりますが、割れません。無傷のまま着地し、横倒しになります。
- 約2.5秒 — モデルが編集のようなカットを挟みます。 次のフレームでは、花瓶が別のカメラアングルでふたたび立っています。横倒しの状態から立った状態へ、動きは連続していません。
- 3〜4.5秒 — 花瓶がもう一度落ちます。
- 5〜6秒 — 今度は正しく割れます。ここでの破片の動きは見事です。大きな破片ほど小さな破片より遠くへ転がり(プロンプトの指示どおり)、粉塵もリアルに舞い、陶片の輪郭も元の絵柄に沿っています。
なぜこうなるのか(当サイトの見立て):衝突の物理挙動に確信が持てないとき、Omni Flashは「落下→衝突→破砕」という一連の流れを6秒間途切れずに安定して描き切れません。不自然に跳ね返ったり、ふわりと着地したりする映像を出す代わりに、シーンカットを挟んで状態をリセットし、壊れる瞬間をやり直すのです。実際に割れる場面は写真のようにリアルで、問題は物理ではなく連続性のほうにあります。
実際に生成するときの対処法:
- 落下の前からではなく、衝突の瞬間から始まる4秒のスローモーションのプロンプトにします。
- またはFlowのFrames to Videoモードを使い、すでに落下中の姿勢にある開始フレームを指定して、動きの軌道を絞り込みます。
- 床が硬い(大理石、コンクリート)場合は、落下と破砕の両方を1本の6秒クリップに詰め込まないようにします。代わりに砂、水、布を試してください。変形に回せる余裕が大きいほど、Omniはきれいに割ってくれます。
このプロンプトのポイント
MediumのGemini Omni Prompt Playbookからそのまま取り入れたプロンプトで、同記事では「実際に動くことを確認した10の例」のひとつに挙げられています。著者はOmni Flashでテストし、破片の重さの分布とリアルな角運動量がうまく描けたと報告しています。
このプロンプトは物理表現のストレステストです。Gemini Omniのいちばんのアピールポイント(Googleの発表より)を見せるためのものです。
“It combines an intuitive understanding of physics with Gemini’s knowledge of history, science and cultural context.”(物理を直感的に理解する力と、Geminiが持つ歴史・科学・文化的背景の知識を組み合わせています)
出典の区分:🟡 コミュニティの実践ノウハウ(確度:中 — 著者はテスト済みですが、出力は公開されていません)
物理表現を引き出すキーワード
MediumのPrompt Playbookによると、次のフレーズがOmniの物理処理を働かせます。
- “realistic momentum”(リアルな運動量)
- “fragment weight distribution”(破片の重さの分布)
- “right angular momentum”(正しい角運動量)
- “larger pieces tumbling further than smaller pieces”(大きな破片ほど遠くへ転がる)
“looks real” や “physically accurate” のような一般的な言い方では曖昧すぎます。Omniは物理的な関係をはっきり書いた指示のほうによく反応します。
ほかにも試したい、物理表現と相性のいい被写体
Prompt Playbookでは、次のパターンがうまくいくと記録されています。
- 液体:注ぐ、はねる、したたる(スローモーションのコーヒー、ワイン、ミルク)
- 固体の衝突:割れる、崩れる、つぶれる(花瓶、パンの皮、ガラスドーム)
- 布:なびく、折り重なる、ふくらむ(カーテン、ドレス、旗)
- 粒子:ほこり、煙、火の粉(焚き火、建物の解体、魔法のエフェクト)
避けたいもの:
- 複数の物体の衝突(3つ以上の物体が絡むと、Omniは動きがぶれやすくなります)
- 長い時間スケール(スローモーションで8秒を超える長さにすると、焦点がぼやけます)
アレンジのしかた
- 物体:花瓶 → クリスタルのゴブレット / 素焼きの壺 / ガラスドーム / 電球
- 床の素材:大理石 → コンクリート / 木 / 砂(割れ方が変わります)
- カメラ:固定の1:1 → 9:16の縦長 / 16:9のワイド
- 見せ場のタイミング:着地の衝撃で割れる → 空中での衝突 / 真空で弾ける / 凍って砕ける
別案:料理のスローモーション(人気だがありきたりな定番)
Ultra-slow-motion video, 1000fps look. A barista's hand pours a steady stream of dark
espresso from a tilted portafilter into a small white ceramic cup. Rich golden crema
forms and swirls hypnotically. Tight close-up, shallow depth of field, warm morning
sunlight from the left.
— コーヒーを注ぐ映像は、2026年の料理系スローモーションでもっとも使い古されたプロンプトです。ちゃんと動きはしますが、Omniならではの強みは見せられません。ポートフォリオには花瓶の破砕を、クライアント案件にはコーヒーを、と使い分けましょう。
よくある失敗パターン
- 文字のレンダリング:画面に重ねた文字は、スローモーションの速度になると崩れます(PixVerseのレビューより)
- 手の動作:注ぐ場面で指が映ると、形がひどく崩れることがあります。手はフレームから外しましょう
- 8秒を超える尺:8秒を超えるスローモーションのプロンプトは、さらに遅くなったり、時間の流れがゆがんだりしがちです
補足
- 衝突の瞬間を見せるスローモーションなら、6秒がちょうどいい長さです
- 1:1のアスペクト比は、商品紹介やEC向けのInstagram投稿にいちばん向いています
- “1000fps look” と指定すると、後処理なしでOmniにフレームレートの指示を伝えられます
出典
- Playbookの出典:Medium — Gemini Omni Prompt Playbook
- Googleによる物理表現の説明:Introducing Gemini Omni
- 文字レンダリングの制限:PixVerse Gemini Omni Review
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