ブログ / 5分で読めます · 2026-05-24
Gemini OmniのVFXプロンプトの書き方 — "When [action], [transformation]" で途中から変化させるトリガーパターン
Gemini Omniで話題になった、鏡が波打つ、泡が彫刻に変わる、蝶が蜂に変わるデモに共通する書き方を解説。トリガー型VFXプロンプトの組み立て方と、結果を固定するコツをまとめました。
I/O 2026で特に話題になったGemini Omniのデモ(腕が鏡に変わる映像、泡がガラスの彫刻になる映像、蝶が蜂に姿を変える映像)には、共通するプロンプトの構造があります。DeepMind自身のガイドはこれを「トリガーパターン」と呼んでいます。クリップの途中で起きる変化を狙いどおりにコントロールしたいなら、これがいちばん確実な方法です。
基本の構造
[Base scene]. When [specific trigger action], [specific transformation]. Keep [list] identical.
構成要素は3つです。
- ベースシーン — クリップが始まる時点の状態
- トリガー — 変化が起きる瞬間の目印になる、具体的な動作
- 変化と固定 — 何を変え、何をそのまま残すか
トリガーは構文の要です。これがないと、Omniは10秒のクリップのどの時点で変化させればよいのか判断できません。その結果、全編をかけてゆっくり変わり続けるか、最初の1秒に変化が詰め込まれるかのどちらかになります。
実例
例1 — 鏡が波打つ(DeepMind公式デモ)
A woman reaches toward a mirror in a Victorian parlor.
When her fingertips touch the glass, make the mirror ripple like liquid
and her arm turn to reflective mirror material.
Keep the parlor, her face, and the warm lighting identical.
うまくいくポイント:
- ベースシーンが具体的(ヴィクトリア朝の客間、女性、鏡)
- トリガーが “after a moment”(しばらくして)のような曖昧な表現ではなく、指先がガラスに触れるという具体的な接触の瞬間になっている
- 変化が、連動する2つの変化(鏡の波紋と、腕の素材)でできている
- 固定で、名前を挙げた3つの要素を守っている
例2 — 泡が磁器の彫刻に変わる
A glass bubble floats slowly above a wooden table.
When the bubble reaches the top of the frame, transform it into a small
porcelain sculpture of a bird mid-flight.
Keep the wooden table, the soft window light, and the slow upward motion identical.
うまくいくポイント:
- トリガーに、物理的な接触ではなく画面内の位置(フレームの上端)を使っている
- 変化が漠然としたモーフィングではなく、具体的な物(磁器の鳥)を名指ししている
- 固定で動きそのものを明示的に残しているので、鳥に変わったあともゆっくり上へ漂い続ける
例3 — 蝶が蜂に変わる(Google発表デモのアレンジ)
A monarch butterfly hovers near a sunflower in a sunny meadow.
When the butterfly lands on the sunflower's center, transform it into a worker bee
collecting pollen.
Keep the sunflower, the meadow background, and the warm golden lighting identical.
うまくいくポイント:
- トリガーが花に止まる瞬間で、1フレームで特定できる明確なタイミングになっている
- 変化の前後で大きさと動作の意図がそろっている(“collecting pollen” で同じ動作が続く)
- 固定で環境を保っているので、視線が変化そのものに集まる
Omniが得意なトリガーの種類
| トリガーの種類 | 書き方の例 | 安定度 |
|---|---|---|
| 物理的な接触 | ”When her fingertips touch the glass” | 🟢 高い |
| 画面内の位置 | ”When the bubble reaches the top of frame” | 🟢 高い |
| 特定の動作が終わる瞬間 | ”When she finishes pouring the water” | 🟢 高い |
| カメラが被写体に届く | ”When the camera reaches her face” | 🟡 まずまず |
| 秒数での指定 | ”At the 5-second mark” | 🟡 まずまず(ただし不自然になりやすい) |
| 曖昧なタイミング | ”After a moment” / “Then” | 🔴 避ける |
このパターンがうまくいくのは、Omniが「変化の前」と「変化の後」をはっきり分けて映像を組み立てられるからです。トリガーが曖昧だとモデルはタイミングを推測するしかなく、にじんだようなモーフィングか、唐突な切り替わりになってしまいます。
トリガー・固定・ベースシーンのよくある失敗パターン
失敗1:固定を書き忘れる。 Omniは変化こそ起こすものの、客間の雰囲気を変えたり、照明を変えたり、被写体を入れ替えたりしてしまいます。対策は、“Keep [list] identical.” のあとに、残したい具体的な要素を3〜5個並べることです。
失敗2:トリガーが曖昧。 “When she touches the mirror” より “When her index finger touches the glass” のほうがよく効きます。どこが何に触れるのか、物理的かつ具体的に書きましょう。
失敗3:トリガーと変化が同じ動作を指している。 “When the leaves fall, the leaves turn red” では、Omniはどの瞬間を基準にすればよいのかわかりません。トリガーと変化は分けて、“When the wind picks up, the leaves turn red and start to fall” のように書きます。
失敗4:トリガーを生成前の設定として書く。 トリガーはクリップの途中で働くもので、前置きの設定ではありません。“Trigger: butterfly lands. Show:…” のようには書かず、3つの要素をひと続きの文章に組み込んでください。
失敗5:変化が多すぎる。 連動する2つの変化(鏡の波紋と腕)なら問題なく機能します。3つ以上になるとたいてい破綻するので、会話での追加指示(チャットで続けて編集)を使って2ターンに分けてください。
トリガーパターンが活きる場面
制作でよく使われる例:
- 質感の変化 — 水 → 氷、布 → 石、炎 → 灰
- 画面の途中での物の入れ替え — 花 → 果実、ガラス → 金属
- 人物の状態の変化 — 落ち着いた様子 → 驚いた様子、疲れた様子 → 覚醒した様子
- 姿を現すアニメーション — 閉じた封筒 → 折り鶴、閉じたつぼみ → 開花
- ブランドの演出 — “When the logo lights up, the product behind it appears”(ロゴが光ると、その奥から商品が現れる)
Avatar機能のプロンプトでも、このパターンは使えます。その場合は被写体を @username にします。
@your_username sits at a desk reading.
When you look up at the camera, smile and wave.
Keep the desk, the warm lamp light, and your sweater identical.
@username での呼び出しと、範囲を絞ったトリガーを組み合わせた形です。カメラに向かって話す動画(トーキングヘッド)の導入部分に便利です。
トリガーパターンを使わないほうがよい場面
- 動きのないシーン — 風景や、雰囲気を見せるだけの映像。トリガーの代わりに、カメラワークの動詞(orbit、pan など)を加えましょう。
- 最初から最後まで続く変化 — クリップ全体をかけてゆっくり変わっていく映像は、普通のプロンプトで書いたほうがうまくいきます(“watercolor painting slowly forming from blank canvas”)。
- 複数ショットの作品 — 別々のショットをカットでつなぐなら、トリガーではなくGoogle Flowでショットをつなげる機能を使います。
送信前のチェックリスト
トリガーパターンのプロンプトを送る前に、次の点を確認してください。
- ベースシーンは具体的か(被写体・動作・場所)?
- トリガーは、1フレームで特定できる具体的な出来事か?
- 変化は1つ、または連動する2つまでに収まっているか(3つ以上になっていないか)?
- 固定の指示で、残す要素を3〜5個名指ししているか?
- プロンプト全体が50語未満か?
5つすべてを満たせば、変化はきれいに決まります。1つでも欠けると、生成し直すたびにおかしな結果が出がちです。
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出典