Blog / 6 min read · 2026-05-24
「Keep X identical」ロック――複数ターンのGemini Omni編集で一貫性を保つための規律
Gemini Omniの会話型編集では、各フォローアップで保持したい要素を明示しないと、映像全体が崩れがちです。「Keep X identical」パターンの重要性と、複数ターンで確実に使う方法を解説します。
Gemini Omniの目玉機能は会話型編集です。最初から生成し直すのではなく、複数ターンにわたって動画を磨き込めます。ところが、コミュニティでのテストでは同じ失敗パターンが繰り返し報告されています。3ターン目にはシーン全体が別物になってしまうのです。キャラクターの衣装が変わり、照明は暖色から寒色へ反転し、カメラアングルはいつの間にか30度回転しています。
解決策は、DeepMindのプロンプトガイドに埋もれ、多くのチュートリアルで見過ごされている短い規律です。フォローアップのたびに、維持する要素を明示的に列挙することです。
パターン
[Change instruction]. Keep [X, Y, Z] exactly the same.
これだけです。初回生成後のすべてのフォローアップは、「keep [list] identical」という句で締めるべきです。これがなければ、Omniは各ターンを、変更内容に合わせてシーン全体を再スタイリングしてよい許可だと解釈します。
実例
ターン1(初回生成):
A woman in a red coat walks through a snowy Tokyo alley at night. Camera tracks beside her, slow handheld, 16:9, 8 seconds, one continuous shot.
ターン2、ロックなし(よくある間違い):
Make the coat blue.
Omniの動作:コートを青くするだけでなく、路地をありふれた通りに差し替え、冷たい青の夜景照明を暖かなオレンジに変え、女性の顔まで置き換えます。欲しかったのは1変数の変更なのに、結果はフル再レンダリングです。
ターン2、ロックあり(正しい方法):
Make the coat blue. Keep the woman’s face, the snowy Tokyo alley, the night lighting, the slow handheld tracking camera, and the 8-second duration exactly the same.
Omniの動作:変わるのは1変数だけです。それ以外は維持されます。
Omniにロックが必要な理由
モデルには、維持したいシーン要素と偶発的な要素を区別できません。「コートを青くして」と伝えた場合、前のフレーム全体は単なる入力です。モデルはそれを固定されたシーンではなく、再解釈の出発点として扱います。
維持する要素を列挙すると、再生成時にそれらの重みが高まります。するとOmniは、ロックを壊さず変更指示を満たす最小限の差分を見つけるよう促されます。
Atlas Cloudによる複数ターンの実地レビューでも、この点は明確に示されています。明示的なロック付きプロンプトは、ターン間の一貫性で4.2/5を記録しました。ロックなしのプロンプトは2.1/5でした。
ロックすべきもの
明示的に変更を求めていないものは、すべてロックします。主なカテゴリは次のとおりです。
- キャラクターの同一性 — 顔、髪、体格、民族性、年齢層
- 衣装 — このターンで変更しない要素すべて
- 環境 — 場所、時間帯、天候、季節
- 照明 — 色温度、方向、強さ
- カメラ — アングル、動き、フレーミング、アスペクト比
- 尺 — 同じ秒数
具体的に書いてください。「照明を同じに保つ」よりも、「左側からの暖かなタングステン照明を維持する」のほうが強力です。ロックが具体的であるほど、Omniはより確実に従います。
ロックだけでは足りない場合
優れたロックを使っても防げないケースが2つあります。
1. 連続した5ショット目以降。 4ターンを超えると、ロックの有無にかかわらずOmniのキャラクター一貫性はおよそ3/5まで下がります。制作は3〜4ショット単位のチャンクで計画し、新しいチャンクを始める際はアンカーを最初から再生成してください。
2. カテゴリをまたぐ変更。 1ターンで照明と環境の両方を変えようとすると、Omniはロックをうまく解釈できません。2つのターンに分けてください。原則は、1ターンにつき1変数です。
ロックとトリガーパターンの組み合わせ
ロックは、Omniに特有のもう1つのパターン、トリガー(「When [action], [transformation]」)とも相性がよくなっています。以下はDeepMind公式の鏡の波紋デモの例です。
A woman reaches toward a mirror. When her fingertips touch the glass, make the mirror ripple like liquid and her arm turn to reflective mirror material. Keep the parlor, her face, and the warm lighting identical.
1ターンに2つのパターンを組み合わせています。変化にはトリガーを、それ以外すべてにはロックを使います。これにより、Omniの会話型編集は単なるデモではなく、実制作で使えるものになります。
クイックチェックリスト
フォローアップを送る前に、次を確認してください。
- 変更する変数を1つだけ指定したか?
- 維持すべき他のシーン要素をすべて列挙したか?
- ロックは曖昧な表現(「照明」)ではなく、色・方向・強さまで具体的に書かれているか?
- 4ショット目を過ぎていないか? 過ぎているなら、再生成を計画する。
ロックを省けば、反復できないテキスト動画生成に戻ってしまいます。使えば、会話型編集はGoogleがI/Oで披露した制作ツールになります。
関連記事
- Gemini Omniプロンプト完全ガイド — 基本式、カメラ用語、冒頭行のテクニック
- VFX向けトリガーパターン — Omniの「When [action], [transformation]」構文
- Omniが解釈するカメラ用語 — ロック内で使うべき動詞
- 用語集 —
keep-x-identical-lockと関連用語の定義
Sources